2010年シーズンを表現するのなら、「変動」という言葉がふさわしいだろう。シーズンを通して5人のトップドライバーたちがしのぎを削り、そのうちの4人がヤスマリーナでの最終戦までタイトル獲得の可能性を残している。
現チャンピオンはタイトル争いから脱落したため、4年連続でチャンピオンが交替することになる。ミハエル・シューマッハがタイトルを独占していた時期を考えると、いかにコンペティティブになったかがわかる。
フェルナンド・アロンソは間違いなくタイトルに一番近いドライバーだが、昨年のアブダビGPで1ー2を飾ったレッドブルのドライバーたちの状況次第では彼の3度目のタイトルも夢に終わる可能性が残されている。
もし、マーク・ウェーバーがヤスマリーナを制してアロンソが3位以下になれば、タイトルはオーストラリア出身のベテランドライバーの手に渡ることになる。
アロンソと対照的に、タイトルから最も遠いところにいるのがルイス・ハミルトンだ。彼にとって最低でも優勝することがタイトル獲得の条件であり、なおかつウェーバーが6位以下、セバスチャン・ヴェッテルが3位以下でなければならないが、それ以外にも何かが起きなければ彼のタイトル獲得は難しい状況だ。
ヴェッテルにとっても同様の状況で、彼は最低でも2位に入らなければならない。
また、彼が2年連続の優勝を飾ったとしても、アロンソが4位以上であればタイトルは獲得できない。
結果的に、アロンソは優勝または2位で自動的にタイトル獲得が決定する。
しかし、ファイナルラップでヴェッテルが1位、ウェーバーが2位、アロンソが3位だったら面白い状況になる。
なぜか?ヴェッテルがウェーバーを先に行かせた場合、タイトルはウェーバーのものとなるからだ。
また、コンストラクターズチャンピオンシップからも目が離せない。レッドブルの優勝がすでに決定しているが、32ポイント差のマクラーレンとフェラーリの2位争いや、たった1ポイント差のウィリアムズとフォースインディアの6位争いも面白い。
特に後者は何が起きても不思議ではない状況だ。
下位に目を向けると、新規参戦3チームによる争いもいよいよ決着を迎える。
中でも、グループ企業に航空会社を持つロータスとヴァージンの戦いが熾烈だ。
ロータス代表のトニー・フェルナンデスとヴァージン代表のリチャード・ブランソン、どちらがスカートを履いた客室乗務員の格好をすることになるのだろうか…。
いずれにしろ、全てのチーム、ドライバーがアブダビのトワイライトレースで2010年シーズンに終止符を打つことになる。長いようで短かった約8ヶ月間、19レースを戦い抜いたドライバーのうち、最後に笑うのは誰か。F1世界選手権第19戦アブダビGP決勝は、11月14日(日)日本時間午後10時にスタートする。
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