発表会には2007年ワールドチャンピオンのキミ・ライコネン、フェリペ・マッサの両レギュラードライバーに加え、スポーツ部門のマネージング・ディレクター、ステファノ・ドメニカーリ氏らチーム首脳陣も駆けつけている。
2007年はマクラーレン・メルセデスとタイトル争いを繰り広げ、最終戦ブラジルGPでK.ライコネンが逆転のドライバーズタイトルを獲得、コンストラクターズタイトルも第14戦ベルギーGPで確定していたことから、2004年以来となるダブルタイトルを奪還したフェラーリ。
2008年もK.ライコネン、F.マッサというドライバーラインアップで連覇を目指す。
ドライバーは前年度と変わりがない一方で、S.ドメニカーリ氏がジャン・トッド氏に代わりスポーツ部門のマネージング・ディレクターに就任するなど、チーム体制には変更があった。このため、これまでは新車発表会に毎年顔を見せていたJ.トッド氏が、今年は参加していない。
フェラーリ54代目のマシン『F2008』には、3年ぶりにカーナンバー『1』が復活。
フェラーリ内部では659の略称で呼ばれてきた。今季から全チームに同一の電子制御ユニット導入が義務づけられ、また、ひとつのギアボックスを4レースで使用しなくてはならないなどのレギュレーション変更が反映されている。その結果、マシン重量が増えたとのこと。空力面には大きな見直しがあったが、開幕までにさらに手が加えられていく。
なお、翌7日にはイタリア・フィオラノにおいて、K.ライッコネンのドライブで『F2008』のシェイクダウンが行なわれる予定となっている。
[ISM]
フェラーリF2008の技術情報
フェラーリの新車F2008は、フェラーリがF1世界選手権に参戦するために作った54代目のシングルシーターである。
内部では659のコードネームで呼ばれるこのマシンのデザインは、2008年のレギュレーションについてのチームの解釈を象徴している。
新たな要素としては、全チームが使用するSECU(スタンダード・エレクトロニック・コントロール・ユニット)と呼ばれる新しい電子システムの導入である。
それは単独のコントロールユニットとソフトウェアシステムを搭載しており、この開発はシーズンが開幕する時点で終了となる。
ルール変更によって影響を受けたその他の部分としては、ギアボックス(4レース連続で使用しなければならない)、安全性(ドライバーのヘルメット周辺より高い側面保護の導入)、材料(使用される複合材料の種類に制限あり)があげられる。
これらのルールの結果として、クルマの重量が増加した。
全ての空力表面は完全に修正されたが、現行バージョンは最初のレースに間に合うように全く異なったものに変更される予定だ。
実際には、シーズンを通して集中的で包括的な開発プログラムが予定されている。
モノコックはドライバーの足下でさらに切られており、サイドポッドとエンジンカバーは次第に細くなっている。
サスペンションシステムは再加工され、新しい空力が開発されている。
ホイールベースと重量配分は新しいレギュレーションに適合させ、ブリヂストンタイヤのパフォーマンスの点では昨シーズンの教訓に乗っ取っている。
SECUの導入に従って電子的な部分における技術およびスポーティングレギュレーションの変更は、トラクションコントロールやエンジンブレーキ、電子スタートシステム等のドライバーエイドの排除をもたらし、差動装置やエンジン、ギアチェンジの操作がより単純になったことも意味している。
ギアボックスケーシングは炭素で作られ、トランスミッションは縦方向に取り付けられている。
2年連続でギアチェンジはクイックシフトシステムが採用され、SECUのソフトウェアに適合させて更にスピードアップを図っている。
新しいレギュレーションにおける信頼性対策としては、ギアボックスへの潤滑油供給においてシェルが重要な役割を果たしている。
ブレーキングシステムは新しいカリパスと冷却に関する革新的なコンセプトにより改良されている。
056エンジンは縦方向に取り付けられ、耐力要素として継続されている。
その基本構造は、昨シーズンの始めにホモロゲートされた装置と比較して変更した点がないが、補助システムや空気及び燃料の取り入れ口はさらに開発が進んでいる。
テクニカルレギュレーションは、5.75%と等しい生物学的起源から算出される構成内容というEU規範に適応した燃料消費を要求している。
通常通り、クルマ全体のデザインと開発段階においては技術的パートナーが重要な役割を果たしている。
前述したシェルの他にも、シミュレーションシステムを提供してくれたフィアット研究センターやブレーキシステムの開発作業を行ったブレンボの貢献は注目に値する。
[GPUpdate.net]